イノセント ~意地悪御曹司と意固地な彼女の恋の行方~
「萌夏ー」

約束した店の前で手を振る友人。

「晶、久しぶりー」

萌夏も駆け寄ってギュッと抱き着いた。

え?
通り過ぎる通行人の何人かが、口を開いたのが見えた。

「ほんとに久しぶり。2年ぶりかな?」
「そうだね」

周囲からの視線など気にすることもなく、萌夏と晶は再会を喜び合う。
大学に行くため家を出てから一度会っただけで、ずっと会えなかった友人との再会に萌夏は泣きそうな顔になっていた。

「おなかすいたね、店に入ろうか?」
「うん」

萌夏の目の前に現れた友人、山口晶(やまぐちあきら)23歳。
萌夏とは小学校からの幼馴染で、地元の友人。
萌夏にとって唯一の親友。
女性にしては長身の170センチ越えの身長に、ボーイッシュな服装とサラサラのショートヘアー。
一見男性にしか見えないルックスと『晶』という名前のせいでいつも男性に間違えられてしまう。
先ほど路上で抱きついてしまった萌夏と晶をカップルだと思った通行人の反応も、2人にとっては珍しいものではない。
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