イノセント ~意地悪御曹司と意固地な彼女の恋の行方~

不機嫌な王子様

翌日、遥に押し切られる形で病院へ寄ってから出勤した萌夏。
頭痛はあるものの、熱も下がったし食事もとれるようになった。
もう一日くらいすればきっと全快するはずだからと随分説得したけれど、遥は聞いてくれなかった。

「おはようございます」
10時過ぎて出勤した萌夏が挨拶をしてオフィスに入る。

あれ?

いつもより、静かな室内。
心なしか残っている人も少ない。

「遅くなってすみません」
近くにいた先輩に声をかけデスクに向かう。

「ねえ小川さん」
向かいのデスクから呼ばれた。

「はい」
「次長や主任に金曜日の飲み会のことで何か言ったの?」
「え?」
意味が分からず足を止めて身を乗り出す。

金曜の飲み会のことで・・・

「何かあったんですか?」

「朝一で主任が金曜日のメンバーを呼び出して、注意したらしいわ」
「えええ」

何でそんなこと。
いや、待って、それってきっと遥の仕業。

「それで、どうなったんですか?」

聞くのも恐ろしい気がするけれど、聞かないわけにはいかない。

「一緒に行った女子社員は注意だけで終わったらしいけれど、男性たちが・・・」
「どうなったんですか?」

「新規のプロジェクトにかかわっていた人がメンバーから外されるって噂」
「ウソ・・・」
そんな馬鹿な。
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