サプライズは素直に受け取って。

会社から約束の駅までは地下鉄と私鉄を乗り換えて約45分で到着する。
ここの駅はもちろん彼女の自宅の最寄り駅。
逃げられてしまった、あの日に彼女への僕の気持ちを後押ししてもらうアイテムを手に入れた場所。

指定したのは駅南口に18時。
時計を見ると15分前に到着出来たので、遅刻を免れほっとしたのもつかの間、四季ちゃんが来てないか辺りを見渡しと恐らく知り合いと思われる女性に声を掛けられた。

「工藤くん！
　こんなところで会うなんて珍しいね！」

ああ。顔を見たら、終業を教えてくれた同僚と気付き挨拶をしておく。

「お疲れ様です。
　そうですね。普段はここの駅はあまり利用してませんので。」

「工藤くんが…良ければ…このあと時間があれば…ごはんでも行かない？
　美味しいね…フレンチなんてどうかなっ」