サプライズは素直に受け取って。
僕は今年30歳を迎え大人の男なのにも関わらず、四季ちゃんとのデートとあって昨夜は全く眠れなかった。

今日、彼女にたくさんの告白をする。

きっと初めて聞く内容ばかりで、自分の世界へ行ってしまうだろう。

だけど、僕はこの度に四季ちゃんを連れ戻す。

どれだけ、君の事を好きか分かって欲しい。

始業と共に帰宅の準備をしたい気持ちを抑え、一日の業務を淡々と始める。
普段は午前中から午後5時頃までは営業先へ挨拶周りで席を外すことが多いが年末になると社内でのデスクワークが専らだ。
ある意味ありがたい事だが。

自席のパソコンとにらめっこをしていると、声がかかる。
「あっあのっ工藤くん、時計見て。
 今日は残業しないって今朝、課長に話してなかった?」

「え!
 …ありがとう。」
はっとして時計を見たら17:05!?
こんな大事な日に遅刻なんてしたら、マイナスしかない。
声を掛けてくれた同僚にお礼を言って素早く片付けを済ませ、駅へと向かうーーーー。

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