サプライズは素直に受け取って。
・シュリンプとアボカドのサラダ
 ドレッシングはオーロラソース
・サラミやソーセージが多めのピザ
 黒胡椒は少なめ
・カルボナーラ
・ピリ辛チキン
・シチューホットパイ
・デザートのプレートに一名分だけ"happy birthday to しきちゃん"とチョコペンで。


このメニューは毎年、真野さん一家が来店予約の時に承っていた一覧だ。
何度も見て何度も秀さんが作った料理を盛り付けし、時にはテーブルまで運んでいた。
その甲斐もあり完璧に覚えている。
お店の予約の時に百合さんにお願いしたことの一つでもあるこのメニューを見て彼女は喜んでくれているだろうか?
君の大好きが詰まったこのメニューをディナーに出してもらうことを。
僕は何度もクリスマスイブにこの料理を目にし、彼女と彼女の家族が幸せそうに微笑む姿を目にしていた。
確か…四季ちゃんはアップルジュースをチョイスしていたと思う。

「四季ちゃん?
 食べられる分だけで良いから無理はしないでね。
 それはそうと、今日の午前中は何してたの?
 って急に聞かれても困るし、それどころじゃないよね?
 デザートの時に話すからそれまでは我慢してて。
 僕も準備運動が必要なんだ。」

黙って食事するなんて申し訳ない気持ちにはなるが、これからのプランを考えると一先ず食べておかないと食欲を失くしてしまうかも知れない。
君を泣かしたくはないけど、もしかしたら泣いてしまうかも知れないから・・・。

「「いただきます。」」お互いに小さな声だったが波長があった。
温かくて美味しい、君の大事な思い出をの料理をゆっくり思い思いのままに頂こう。
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