サプライズは素直に受け取って。
看護学校一年生が終わる頃。
私は春休みを利用して短期のアルバイトをレンタルビデオ屋さんで働いていた。
短期間の契約なのにも関わらず、レジの当番、返却されたDVDやCDそれに漫画本を棚に戻したり、お客様の見つからない商品を探したりと…色々な仕事を教えて任せてもらい、看護とは全く別の世界を楽しんでいた。
ほんの束の間。

その日も普段と同じように朝起きて、母に挨拶をして、何時に帰ってくるか夕食はどうするかとありふれた日々と同じ光景。

『お母さん。今日もバイトなんだけど、ゆかりと駅前のところでお茶してくるね。』

『あら!そうなの~
 ママね、今日のお夕飯は外にしようってパパに言われてるから二人で行ってくるわ。
 パパにも連絡しておくから。
 しーちゃんは適当に食べてきて。
 朱莉は残業って言ってたし。
 久しぶりにパパとデートしてくるわ~』

『うん。
 分かった!
 そしたら、お茶じゃなくて本格的に食べてくる!』
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