その男『D』につき~初恋は独占欲を拗らせる~

「…ありがとう、ございます」

強制わいせつを受けたばかりでお礼を言うのは癪だったけど、一応人としての礼儀は欠かしたくない。
小声で伝えて小さくぺこっと頭を下げると、とても嬉しそうな顔を向けられた。

顔を伏せている時だけでなく、こうして笑った顔も雰囲気でなくちゃんとイケメンに見えた。
無言で伏せるか笑うかしとけばいいらしい。そりゃ女の子もチョロく落とせるってもんだ。

「うん。Dの男に拘るの、やめる気になった?」
「うん?なりませんよ?」
「なんで?!」

なんでと言われても。
やはりイケメンとかモテる男は私には合わない。

なんとしても見つけたい。私のDの男。




< 34 / 110 >

この作品をシェア

pagetop