2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
フランス料理をゆっくりと1品1品味わい、とても幸せな時間を過ごした。そこまで固いルールもなくて、集中して食事を楽しめた。
それは、間違いなく、お店の方の温かい気遣いと樹のサポートのおかげだった。


「すごく美味しい。こんなに綺麗なお料理があるなんて。お皿に絵が描かれてるみたい」


使い慣れない言葉を思わず口にしてしまった。
ちょっと恥ずかしい。


一通り食事も終わり、最後のデザートが運ばれてきた時だった。


「樹!!」


その声に振り向くと、そこには沙也加さんがいた。
沙也加さんのドレスアップした姿が鮮やかに目に飛び込んできた。


ど、どうして? こんなところで会うなんて……


本当に……嘘みたいに綺麗だ。
こうして並んだら、私なんて霞んでしまう。


「樹、どうしてここに?」


「柚葉と食事に来た」


沙也加さんのこの様子じゃあ、これは本当に偶然なの?
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