2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~【リニューアル版】
「止めて! それ以上言わないで!」


私は、両手で耳を塞いた。


「止めろよ、柊。本当に止めてくれ」


「樹まで……何で?」


「柊。お前の感覚はおかしいんだ。人とは違う。ずっと治してあげたかったけど、でも、言えなかった。柚葉と結婚するって聞いて、やっと1人の人を愛せるようになったのかって、俺は2人のことを祝福しようとしてた。なのに……まだ……」


「まるで病気みたいな言い方するんだね、樹」


「樹さんを責めるのは止めて。柊君、とにかく結婚は取り止めて下さい。そして、私と別れて、お願いだから」


私は、深く頭を下げた。


「柚葉……」


柊君の目が潤んだ。
私は、この人と一緒にいたら絶対ダメになる。
だから、今、ちゃんと言わなきゃ。


「今までありがとう。柊君……さよなら」


悲しくて、つらくて……
それでも、私は奥歯をかみ締め、後ろを振り向かずに社長室から出た。
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