2人のあなたに愛されて～歪んだ溺愛と密かな溺愛～【リニューアル版】

『新郎様は、身長がお高いのでお裾直しが要らないですね。本当にお似合いです』


衣装合わせを手伝ってくれた式場の方々も、柊君の姿に溜め息をもらしていた。


『柚葉、どう？ 似合ってる？』


ニコニコしながら聞いてくる。
そんな可愛い笑顔で見られたら照れちゃうよ。


『い、いいと思うよ、すごく』


あまりに洗練されたカッコ良すぎるタキシード姿にドキドキして、そんな単純な愛想の無い言葉しか出てこなかった。


もっとマシな褒め言葉は無いの？
自分の語彙力の無さに心の中で文句を言った。


『柚葉、おいで』


ウエディングドレスの私を手招きした柊君は、式場の人に、「すみません、写真お願いしてもいいですか？」と頼んでくれた。


『はい、撮ります。笑って下さい～』


カメラのシャッター音と同時に、世界一幸せな2人の写真が、スマートフォンの中にたった1枚だけ生まれた。