お前の隣は俺だけのもの。
ガラガラッ!



「失礼しますっ!」

「っ!?」



勢い任せに教室の扉を開けたのは、あまりよくなかったかもしれない。

教室の中にいた女の子を発見する私。

その子は、パソコンで作業をしていたのであろう手を止めて、驚いた様子で私を見ていた。

目を真ん丸くさせて。

かけているメガネが、落ちかけている。

漫画みたいな驚き方って本当にあるんだな、とびっくりした。



「えーっと、あの?」



おとなしそうな女の子が口を開く。

きっと、『なにをしに来たの?』と言いたいのだろう。

だけどなにも言わない彼女。

驚きすぎて言葉が出なくなってしまったのか!

ここは私から話をするべきだな!



「突然すみませんっ。部活を探していまして! あっ、私、転校してきたばかりなので!」



なにを言いたいのか分からなくなった。

勢いだけで喋ると、自分でもなにを言っているのか分からなくなるんだな。


自分の語彙力のなさに肩を落とす。

すると、くすっと笑い声が聞こえた。
< 35 / 154 >

この作品をシェア

pagetop