お前の隣は俺だけのもの。
「ここは、文芸部です。よかったら見学していってください」

「え、あ……。はい」



文芸部。

文芸部……。


文芸部って、小説を読んだり書いたりするところなのかな。

面白そうじゃないか。

私、読書するのは大好きだし。

見学させてもらおう。



「見学します! お願いします!」



頭を下げると、彼女は上品に笑った。

笑い方がお嬢様って感じがする。



「私、桃園 凛と言います。文芸部の部長をしています」

「部長さんでしたか! 私は岩倉 陽菜、です!」

「陽菜さん。……ゆっくりしていってください」



桃園 凛さんは、文芸部の部長様なのか。

どおりで、話し方とかたたずまいがしっかりしている。


だけど。

この教室には他の生徒さんがいない。

少し狭い教室に桃園さんがひとりだけ。


なんで他の生徒さんがいないんだろう。

きょろきょろしている私に気がついたのか、桃園さんは苦笑した。
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