お前の隣は俺だけのもの。
「相思相愛だねぇ」



怜央がなにかを言っているけど、うそくさい。

相思相愛なんて思ってもないでしょ。



「凛ちゃん、なんでそう思ったの……?」

「顔が赤くなっていましたし……」

「それは怜央の距離が近すぎただけだからね?」



私の説得に頷いてくれた凛ちゃん。

なぜか納得がいかない様子だったけど。



「岩倉の好きな奴は九条だろ?」

「はっ!?」

「えっ」



潤の言葉に反応する私と凛ちゃん。

私が碧を好きなんて、そんなこと……っ。

そんなことない、と思うのに、顔に熱が帯びてきているのが分かる。


だって。

昨日、突然キスされて、1日中碧のことで頭がいっぱいで。

今ようやく、碧が頭から離れたと思ったのに。

また戻ってきてしまったじゃん。



「陽菜さんは、九条くんのことが好きなんですか?」

「いやっ……。好きといえば好きだけど、それはっ、」



幼なじみだから。


そう言おうと思った瞬間、隣に居た怜央に腕をぐいっと引っ張られて、思わず椅子から落ちるところだった。
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