先生がいてくれるなら③【完】
まぁ、忘れてたと言えば忘れてたんだけど、そもそも自分の誕生日を今まで一度も覚えていたことなんか無かったから、仕方がない。
『“あぁ”、って、先生。……あの、忙しいですか?』
「んー、それは大丈夫だけど……、正直、そんなのどうでも良いから、勉強を頑張れ」
『え~っ、そんなこと言わないで……。先生のお誕生日をお祝いしたいので、お願いします!』
可愛い恋人にお願いされて断るわけにもいかず……。
過去に一度も自分の誕生日を祝って欲しいなんて思ったことがなくて、今まではむしろ祝われたくないと言う思いの方が強かった。
だから、なんだかそう言うのがむず痒い、と言ったらなんだけど、なんだか落ち着かない気分になる。
立花に祝って貰えるのは嬉しいけどね、もちろん。
可愛い彼女の “お願い” には全く勝つことが出来ないので、俺の誕生日を祝って貰うことになった。
一緒に過ごすだけでも十分に祝って貰えてると思うのに、相変わらず美味しそうな料理をたくさん持ってきてくれて、どれも全部美味しくて、本当にしあわせな気分だ。
学校は授業が無くなって、3年生が登校する日はあまりなくなってしまった。
必然的に、全く会えない日が続いている。
そんな中で久しぶりに会えるのは、確かに俺としてもとても嬉しいことではある。