君に伝えたかったこと

元気を出して

久しぶりの外出は美貴恵に少しだけ元気を取り戻させてくれた。
街を歩き、大好きな洋服を見て回るのは、意外なほど時間を忘れさせてくれる。
気がつけば、昼食を食べることさえ忘れてしまうくらいだった。

(あれ? そういえばご飯食べてないなー。どおりでお腹もすくし喉も渇くわけだ)

朝から歩きっぱなし疲れたこともあり、飲み物を買おうとコンビニに入る。
そして見るともなしに雑誌の棚を眺めていると、ふと一冊の本が目にとまる。芳樹と出会うきっかけになったあの雑誌だ。

鼓動が一気に高まり、必死で抑えつけていた感情が騒ぎ出す。

(見る? 見ない?)

一瞬の葛藤

視線をわざとその雑誌から背け、レジへ向かう。
そのまま店を出るはずだった・・・

その雑誌を手に取ったところで、何も変わらない
何も戻らない
きっとあの日のことを想いしてしまうだけ

(少しだけ、本当に少しだけなら・・・)

気がつけば雑誌を手に取りパラパラとめくり始めていた。
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