君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように

本当に大丈夫?




「もう、リズムゲームで栞には勝てないわ。俺結構うまい方だったのに」

「む、昔ピアノを習っていた貯金があるからかな」


 ふたりでゲームセンターに行った帰り道。

 私と樹くんは夕日が照らす道を、ふたりで歩いていた。

 今日もとても楽しかった。

 ゲームに慣れてきた私は、もうまったく緊張せずに遊ぶことができたし、プリクラだって変な顔をして楽しむことができるようになったくらいだ。

 だけど私は焦っていた。

 きょ、今日は積極的に行こうと思っていたのに。

 私、全然積極的にできてない。

 プリクラを撮る時だって、恥ずかしくて樹くんから少し離れていたら、彼の方から近寄ってきたし……。

 途中、ふたりでアイスを食べた時だって、樹くんの方から「ひと口いる? はい!」って、私に向かってアイスの乗ったスプーンを突きつけて、あーんをしてきたし……。

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