君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「あ、あの! 樹くんが急に倒れちゃってっ。ね、ねえ救急車かな!?」

「わかった! 俺が呼ぶから、栞ちゃんは樹についててあげて!」

「うん!」


 悟くんはすぐに状況を理解してくれたようで、スマートフォンを取り出して素早い動作で電話をかけてくれた。

 さ、悟くんが来てくれてよかった……。

 私ひとりだったら、慌ててすぐにそんな判断はできなそうだった。


「すぐに来てくれるって。ここで待ってよう」

「そっか……。悟くん、ありがとう」

「いや、こちらこそ。栞ちゃんがついててよかったよ。……ねえ、急に樹が倒れたの?」


 私はこくりと頷く。

 そして、樹くんが倒れたのは自分が告白をしたせいなんじゃないかと思えてきた。


「私が変なことを言ったからかも……! 私のせいなんじゃ……」


 「うぅ……」と、小さく呻いている樹くんの頭を撫でながら、私は不安を口にする。


「え、変なことって?」

「樹くんに告白したの……。好きだって、言ったの。私が予想外のことを言ったから、びっくりしちゃって樹くんは……」


 状況が状況だから、悟くんにこのことを伝えるのは躊躇しなかった。
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