小説「グレイなる一族」

エピソード四拾誤 「グレイなる境遇」

何度も何度も「グレイ広場」に定期的に来て、野良の姿を探して見るのだが雨と風は強く異世界を吹き付けており、更に野良の姿を探すのは困難であった。

その時、パチンコに行っていた「セバスチャン」と「グランマ」が「グレイランド」に帰国してきた。彼等はどうやら、今夜の勝負に勝ったらしく特に「グランマ」などはご機嫌様で「グランマ波形」非常に高いので臨時ボーナスとして、鰹節の配給を行ってくれたである。

私は、この時ほど自分が「グレイランド」の長である事とその無力さを嘆いた事はなかった。この鰹節を野良に分けて与えてあげたいものだが、すでに野良が無事かどうかすらわからない・・しかし私の食欲はそんな思考回路とは別に鰹節を平らげてゆく・・

異世界の風が時折弱くなると、窓の外から・・

野良「負けるか!!負けるもんか!!」

という声が聞こえてくる。私と野良は、その姿は同じ容姿だがその住んでいる環境は
まったく違う容姿が同じでも生き方が違えばそれはもう別な生き物と言える・・
私は、そんな野良に本当に負けて欲しくなどないと思い、
異世界の風が弱くなるのを見計らい

グレイ「野良、負けるな!!!」

と一声エールを送った、そのエールが届いたのかどうかわからないが野良は一瞬こちら
の方を見上げスマイルを浮かべると、また異世界の雨と風は強くなり野良の姿は見えな
くなった。

I am GALY・・
私の名は、グレイ

私は、野良のように自由ではないがいつの日か野良と同じように強くなりたいと誓った
由緒正しき誇り高き高貴な生き物の一族の末裔である。

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