小説「グレイなる一族」
それから、数日後「バルト国」では、盛大な祝賀パーティーが開かれていた。諸国の王達の中心に「バルト王」を配して、宴は盛大に行われた「バルト王」が乾杯の音頭を取ると、諸国の王達も皆心ゆくまで勝利の酒の味を味わっている・・

宴も大分進むと、酔っている「バルト王」に近づく兵士がいた。

バルト王「おい!そこの兵士も酒を飲め・・勝利の美酒だぞ!!」

「バルト王」は上機嫌だった。ただの兵士にも勝利の酒を、グラスを手にし注ごうとしている。「バルト王」は注いだグラスを兵士に手渡そうとその手を掴んだ。その手は大火傷を負っていた・・

バルト王「なんだこの手は・・火傷か?」

次の瞬間、兵士は剣を抜き「バルト王」の胸に突き刺した・・宴は一瞬で地獄に変わる・・「バルト王」が、兵士の剣で倒れるとすぐに大勢の兵士がその兵士を取り囲み、やがてその兵士は切られ倒れてしまった・・倒れた兵士の鎧兜を脱がせると、顔の大半が火傷によって醜くなっており、特に両手の火傷の後が生生しく、よく剣を握れたのが不思議なくらいだった。

ところ変わって、「マーガレ」と二人の子供を乗せた馬は、山中の家を探して進んでいた。「マーガレ」は、抱くようにして自分の前に座っている男の子に話しかけた・・

マーガレ「・・名前は何て言うの?」

男の子「・・アレキグだよ・・妹はアノル・・」

マーガレ「そう、これから私が貴方達のお母さんだからね・・貴方達のお父さんとなる人もすぐに追いついてくるわ・・だから寂しくないよ・・いい?」

アレキグ「僕らを助けてくれたあの人は、お父さんの名は何て言うの?」

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