私があなたを殺してあげる
「えっ?」

「女の人がこんなに体冷やして、まったく何を考えてるんですか? 俺に文句があるなら店に入って来てくれればいいでしょう?」

 浅尾くんは少し怒り気味で、ちゃんと私の体を覆うように上着を掛けてくれる。


 なに? 何してるの?

 突然の浅尾くんの行動に、私は戸惑う。


「家は近いんですか? 送りますよ」

「えっ? いやいや、いいよ」

「まだ暗いし、こんな状態のあなたを一人では帰せません。店長にも頼まれているんで」

「店長に?」

「はい。外でさっきのお客さんがいるから家まで送ってあげてって。家はすぐそこだからって」


 河名さん、気付いてたのか? でも、なんで浅尾くんに頼むかな?


「さぁ、行きますよ」

「いや、ちょっと!」

 浅尾くんは私の手を掴むと、少し強引に歩き出した。


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