逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る
名家の令息や令嬢が続々と集まる中、父上に引き合わされた先で俺は衝撃を受けた。
なぜなら、そこには妖精かと見紛うかと思う女の子がいたのだ。
つり目がちな大きな瞳は檸檬色できらきらと輝き、澄んだ色をしている。小さな唇はぷっくり艶やかで、深い森のような深緑の髪はゆるやかに波打っていて、とても愛らしい。
何より、知的な顔には、他の令嬢のような俺に取り入ろうとする色はない。だからだろうか。彼女を見つめているだけで妙に胸がざわつく。
女の子を見て、可愛いと思ったのは生まれて初めてだ。
「ほら、先ほど話しただろう? お前の婚約者だよ」
父上に促されて、俺は深呼吸をした。
しかし瞬きをいくら繰り返しても、目の前の妖精は変わらずたたずんでいた。まるで、夢ではないのだと俺に教えるように。
これが現実なのだとすると、初対面の印象は大事だ。
逆に言えば、最初の印象が悪ければ、いい関係は築けない。
(しかし……せっかく綺麗な顔をしているのに、服が似合っていないなんてもったいない。ヴァージル公爵家お抱えの針子に作らせて、もっと華やかなドレスを着せたいな)
他の令嬢はリボンやフリルがたくさんついたドレスなのに、彼女は飾り気がほとんどない清楚なドレスだった。
なぜなら、そこには妖精かと見紛うかと思う女の子がいたのだ。
つり目がちな大きな瞳は檸檬色できらきらと輝き、澄んだ色をしている。小さな唇はぷっくり艶やかで、深い森のような深緑の髪はゆるやかに波打っていて、とても愛らしい。
何より、知的な顔には、他の令嬢のような俺に取り入ろうとする色はない。だからだろうか。彼女を見つめているだけで妙に胸がざわつく。
女の子を見て、可愛いと思ったのは生まれて初めてだ。
「ほら、先ほど話しただろう? お前の婚約者だよ」
父上に促されて、俺は深呼吸をした。
しかし瞬きをいくら繰り返しても、目の前の妖精は変わらずたたずんでいた。まるで、夢ではないのだと俺に教えるように。
これが現実なのだとすると、初対面の印象は大事だ。
逆に言えば、最初の印象が悪ければ、いい関係は築けない。
(しかし……せっかく綺麗な顔をしているのに、服が似合っていないなんてもったいない。ヴァージル公爵家お抱えの針子に作らせて、もっと華やかなドレスを着せたいな)
他の令嬢はリボンやフリルがたくさんついたドレスなのに、彼女は飾り気がほとんどない清楚なドレスだった。