受得る -jewel-【完】

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実の母親に裏切られ無一文状態の私は、菖蒲さまに縋ることしかできませんでした。
一度は衝動的に死を決意したものの、やはり心の隅で生き延びたいという本能が主張を始めだしたのです。

菖蒲さまはこの浮世を器用に生き抜くための術を、おっとりとした口調と心地よい声音で、それはもう丁寧に教授してくださいました。
遊女としてこの地にとどまり、低俗な男共の欲の捌け口として貢献し、対価として大金を手にしていくこと。
それを聞かされた時は流石に戸惑いましたが、その生き様こそが菖蒲さまの求めているものであり、そうすることで菖蒲さまが笑って喜んで嬉しいと感じてくださると理解したや否や、私の中にあった価値観が次々と覆されていきました。

それからというもの、私のなかで菖蒲さまが全てとなりつつありました。