受得る -jewel-【完】
私と菖蒲さまの関係、それはさながら独楽にとっての軸のようで、私の世界は菖蒲さま無しで回ることは考えられないと言っても過言ではありません。


「今日は楽しかったよ。また来るからね」
「こちらこそ、本日はありがとうござりんした。またお越しくんなまし」


そうして今じゃすっかり一人前の遊女として夜な夜な乱れている私。
指名はもちろん、一週間先まで予約が埋まっていることが当たり前になりつつあります。
休むことなく月経時もお構いなしに尽くす日々。
時折体が悲鳴を上げますが、それも菖蒲さまのためだと思えば快感にすら感じられるのです。

恐縮ながら菖蒲さまの後を継ぐ花魁として、この私が有力候補だとも言われている話を小耳に挟んだことがあるほどでした。
ですが私はこの身果てるまで菖蒲さまのもとにありたいので、少しばかり複雑な気持ちにさせられました。
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