Livre magie〜今世の幼なじみ〜
僕たちの目の前に現れたのは、緑色をした巨大な蛇だった。チラチラと長い赤い舌を見せ、僕たちを見下ろしている。

僕と零は、固まって動くことができなかった。あまりにも非現実的な出来事に、脳が追いつかない。

大蛇が口を大きく開けた。見えたのは、誰かの血で汚れた鋭い歯と真っ暗な口の奥。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

悲鳴を上げた刹那、僕は飛び起きる。とんでもない悪夢を見ていた。身体中汗でベタベタしているし、呼吸は乱れている。

「夢か……」

僕は息を整え、自分自身に杖を向ける。そして「ジャミール!」と唱えた。すると汗でベタついた服が綺麗になっていき、僕の体もまるでお風呂に入ったばかりのように綺麗になっていく。

フウッと息を大きく吐いた後、僕が時計を見るとまだ夜明け前だった。でも、あんな夢を見た後でもう眠れる気がしない。

僕はパジャマからローブに着替え、ほうきを取り出す。そして窓を開けると、そのほうきに跨って家の近くにある木の上へと飛んだ。

心が落ち着くまで、朝焼けを見ることにしよう。

僕はそう思いながら、世界が燃えるような赤に包まれていくのを待った。
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