天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 母はハンカチで目を押さえていたが、倉田の両親は笑顔で迎えてくれた。


 果てしなく続く広大な海を前に永遠の愛を誓いあい滞りなく式が終了したあとは、双方の両親と食事を楽しんだ。
 これも陽貴さんの計らいだ。


「季帆ちゃん、きれいだったわね。陽貴の奥さんにはもったいないわ」


 お義母さんはそう言うが、もったいないのは陽貴さんのほうだ。


「馬子にも衣装って感じよね、季帆」


 母につっこまれるがその通り。
 しかも倉田の両親には幼い頃からお世話になっているので、今さらなにを取り繕っても遅い。


「いや、清楚な感じがぴったりでした。最高の妻です」


 陽貴さんが口を挟むのでくすぐったくなりうつむいた。

 こうして両親の前でも私への愛情を示してくれるのがうれしい。


「陽貴くん。季帆に至らないことがあればどんどん知らせてください」

「なにもありません。彼女は努力家ですから、頑張りすぎるくらいで。しいて言えば体を壊さないか心配です」
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