天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「皆、お待ちかねだよ」


 彼はすでに両親たちに会ったようだ。


「うん」


 私は差し出された手を握り、チャペルに向かった。


 両親との対面は感動の嵐となった。

 挙式はこれからなのに母は目を真っ赤にして泣いているし、幼い頃からよく知っているお義母さんまでうっすらと涙ぐんでいる。

 いよいよ挙式の時間となり、私のドレス姿に頬を緩ませる父の手を取りチャペルの扉が開くのを待つ。


「お父さん、遠くまで来てくれてありがとう」

「季帆の晴れ姿が見られるんだから、来るに決まってるだろ。陽貴くんが全部手配してくれたんだ。彼に感謝しないと」

「うん」


 忙しいのに、きっと大変だっただろうな。


「それではそろそろまいります」


 スタッフが扉を開け放つと、祭壇の向こうはガラス張りで完全なるオーシャンビュー。
 その祭壇で、陽貴さんが待っている。

 父とバージンロードを進むだけで胸にこみあげてくるものがあり、目頭が熱くなる。
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