天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 幻覚が見えたり突然興奮したりというような症状が現れ、ときには点滴のラインやドレーンを抜いてしまう患者さんもいる。

 このせん妄は夜間に悪化するケースが多いのだ。


「そう。落ち着いてる?」
「はい、今は」
「お疲れさん。彼は今日から研修に入る門脇(かどわき)くんだ」


 田辺部長は隣に立つ男性医師を紹介した。


「門脇です。よろしくお願いします」


 彼は深々と頭を下げている。
 そういえば前期研修医の先生がしばらく入ると聞いたような。


「オーベンを倉田に頼んであるんだが、どこ行った?」


 どうやら陽貴さんが指導医になるらしい。


「まだこちらにはお見えになってませんが、医局にいらっしゃいませんでした?」


 師長も知らない様子だったので私が口を挟んだ。


「あの、片山さんが気になるので、ICUに寄ってからこちらにいらっしゃると連絡が……」


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