天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 スピードを出しすぎた本人の過失だったようだが、あまりに大きな代償だ。


「片山さん、大丈夫ですか?」


 目の下にはっきりとクマができているお母さんが気になり、近寄って声をかける。


「はい」


 はい、という返事だったのに、彼女の瞳はたちまちうるんできた。


「片山さん?」


 そっとハンカチを差し出すと、とうとう大粒の涙が流れだしたため胸が痛む。


「ごめんなさい」
「いいんですよ。大変でしたよね」


 命は助かったが、後遺症が残る可能性が大きい。

 励ます意味で腰にそっと手をあてると、「実は……」と彼女は語り始めた。


「あの子のチームの監督さんから電話があって、戦力外だと通告されたんです。でも、とても伝えられなくて」
「戦力外?」


 たしかにあそこまでのケガを負ったので、バレーボール選手として再びコートに立つのは難しいかもしれない。

< 185 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop