天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私もよくわからないけど、普通は彼氏、彼女の関係になってから結婚を考えるものじゃないの?


「わかんない」
「デートなんかしなくても、季帆のいいところは全部知ってるぞ、俺」


 彼は私の頬の涙の痕にそっと触れて優しく微笑む。


「デートしたければこれからいくらでもできる。俺と一緒になるのは嫌?」


 嫌なわけがない。
 あこがれつつも手が届かないほど立派になった彼に、そのうち素敵な女性を紹介されるだろうなと覚悟していたくらいなのに。


「ううん」
「それなら決まり。俺がずっとそばにいる。だから季帆はゆっくり立ち上がればいい」


 彼が突然結婚なんて口にしたのは、沈んでいる私を慮ってのこと?


「ハル兄、あのね。私のためだったら――」
「俺のためだよ。季帆に悪い虫がつく前に俺のものにしたい。ずっと、好きだった」


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