天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「奥村先生はサマリーできたんですか? 関先生が遅いと怒っていらっしゃいましたよ」
「ヤバ……」


 師長に叱られた奥村先生が離れていく。


「香月さんも、お疲れさま。ナースの手が足りないところをフォローしてくれてありがとう」
「いえ。お手伝いできてよかったです」


 特に話したわけではなかったが、師長は私がプリンを運んでいるのは承知していた。
 だからかお礼を言われたのだ。


「あなた、看護師にならない? 向いてると思うのよね」
「そうでしょ? 向いてますよね」


 師長に乗る陽貴さんに驚いたが、大きな挫折を経験したこんな私に向けられた言葉が光栄で、心が温かくなった。
< 242 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop