天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私はいつも通り更衣室で着替えてから、八階の脳外科病棟に上がった。


「昨日の準夜勤帯に、二十八歳男性が交通事故による脳挫傷で805に入院になってます。主治医は倉田先生。入院についての説明はしてあるけど、書類を整えておいてくれる?」

「わかりました」


 夜勤だったナースから引継ぎを受ける。

 陽貴さんが昨日遅かったのは、この患者を診ていたからだろう。

 私はカルテを確認してから早速病室に向かった。
 入退院の手続きはクラークの仕事なのだ。


「失礼します。クラークの香月です」


 四人部屋の病室に入りカーテン越しに声をかけると、患者の母親らしき人が顔を出した。


「中村(なかむら)さんのお母さまですか?」
「はい。息子は大丈夫なんですか? 手術もせずにこんな……」


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