天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 長崎先生は明らかに不機嫌顔で、陽貴さんは小さなため息を落とした。


「そんなに簡単ではありませんよ。医師によって癖がありますので、同じ局面でも使う器具が異なるケースもあります。そうした癖も頭にインプットして、臨機応変に対応しているんです。渡し方にも気を配っているはずだ。試しにまったくの素人と組んでオペやってみますか? 彼女たちがどれだけすごいかわかりますから」


 陽貴さんは淡々と、しかし熱を込めて話す。

 私たちの努力をわかってくれる人がいるのはありがたい。


「倉田先生」


 私がそこで近寄っていくと、長崎先生は目を丸くしている。


「師長から小島(子じま)さんの検査データを預かりました。なにか指示があれば」


 データを手に取った陽貴さんはすぐにチェックを始める。


「問題ないね。この分だと退院も近そうだ。もう少しリハビリに励むように発破かけてくれない?」
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