天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私は師長を捜しに病棟を回った。

 すると、認知症の検査のために入院している八十四歳の女性、品川(しながわ)さんのところで見つけた。
 近づいていったが、話が盛り上がっているので少しだけ待つことにした。

 脳神経外科は大きなオペ後のリハビリをする患者さんも多く、その場合、指一本を動かすところから始まるのも珍しくない。

 動作は極めてゆっくりだけど、忙しいナースたちもそれに根気よく付き合うことが大切だ。

 今まであたり前にあった機能を失ってしまった患者さんに「早く」と急かして自信をなくさせるのは厳禁だと、陽貴さんも力説していた。

 認知症の患者さんも然り。
 この会話もすぐに忘れてしまう可能性があるが、ぞんざいに扱われているかどうかの判断がつくのなら、適当に切り上げてはきっと傷つく。


「植物はね、適度な水と栄養が必要でしょ?」


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