天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 私たちクラークは医師から口頭で知らされた検査のオーダーや病名登録、Do――前回と同じ指示の薬剤処方――などの電子カルテの代行入力も仕事のひとつ。

 そのため常にカルテはチェックしていて、誤りに気づいたのだ。

 といっても、欠けているのに気づいたのは看護師としての経験ゆえで、そのため陽貴さんも『クラークにしておくのはもったいない』と付け足したのだろう。


「それじゃあ」


 彼は私の背中越しに両手を伸ばしてきて、入力を始める。

 私は密着しすぎて息が止まりそうなのに、「これでよし」とあっけらかんと離れていった。


 たまたま周囲に誰もいなかったからいいものの、こんな姿、他のナースに見られたら男女の仲だと誤解されるでしょう?

 いや、夫婦なのだから誤解でもないんだけど。

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