天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 大声で叫び投げると、陽貴さんはそれに気づいて手を伸ばした。
 男性はぐったりして意識を喪失したように見える。

 立てる位置まで達すると、陽貴さんは男性を抱きかかえたまま人工呼吸を始める。

 溺水の場合は人工呼吸がいかに早くできるかがカギとなるのだ。


 その頃には騒ぎを聞きつけた人たちが集まってきて、男性を引っ張り上げるのに協力してくれた。


「陽貴さん!」


 水を飲んだのか、倒れ込んで激しくむせる彼の背中をさする。


「俺は大丈夫だ。あの人を」
「でも……」


 彼が心配だ。


「俺たちは……ゴホッ、どんなときでも命を救う義務がある」


 せき込みながらも私を諭す彼の言葉に目が覚めた。


「わかった」


 私は陽貴さんから一旦離れ、群がっていた人たちをかき分けてぐったりと横たわる男性の横にひざまずき、バイタルサインを確認する。


「聞こえますか?」


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