【完】セカンドマリッジライフ

それは僅かな変化だったかもしれない。
’君’から’雪乃’と呼び方が変わった事も、愛が少しずつ積み重なっていく過程に感じるの。

毎日好きになっていく。だからこの愛は無限大なのかもしれない。 こんなに穏やかで幸せな日々が私の元へ舞い落ちるなんて。

そして六月の始め。 みどり動物病院に嬉しい来客があった。

「利久先生ー!
雪乃ちゃあーん!」

「ゆなちゃん?! 先生…!ゆなちゃんがいらっしゃいましたよ!!」

その日病院の一番のお客さんはゆなちゃんとゆなちゃんのお母さんだ。

ポテトが亡くなってから二週間経っていた。 あの時は大泣きをして目を腫らしていたゆなちゃんだったけれど、すっかり元気になったようでいつもと同じ花の様な笑顔を見せてくれた。

診察室から利久さんが出てきて、ゆなちゃんの笑顔を見た瞬間頬が緩む。

「ゆなちゃん、こんにちは」

ゆなちゃんの背丈に合わせて膝を折り曲げると、利久さんは頭を優しく撫でる。
顔を上げてお母さんの姿を確認するとぺこりと小さく頭を下げる。

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