【完】セカンドマリッジライフ

本当は私全然素直じゃないんだ。 誰の前でも笑っては見せるけど、こういう時の涙は人には見せたくない。

でも利久さんは私が顔を見せないで泣いている事なんてお見通しだったんだと思う。 そして無理に詮索なんかしなくて静かに横に居てくれる。

その優しさにどれだけ助けられているか、利久さんは知っているのだろうか。

「結婚指輪もそうだけど、今度結婚式も挙げよう。 人なんて呼ばなくていいんだ。二人きりで構わない。
俺は雪乃のウェディングドレスも見たい。 きっとそれも良い思い出になる。
これからも一緒に沢山の未来を作って行こう」

「…嬉しい。本当に嬉しいよ…」

愛しさの最上級をどうやって表現したらいいのだろう。

今まではただ笑っていれば、皆の理想通りの自分で居れば良いと思っていた。 でも利久さんがくれる全てが嬉しすぎて、その表現の仕方が分からなくなっていくんだ。

この想いをどうやって伝えれば愛しさは表現出来るというの?

あなたを前にして初めて自分がこんなに不器用な人間だったと知った。
愛されるのが苦しい。

こんなに利久さんへの愛しさは日々募っていくのに、私は心のどこかでまだ彼に心の全てを許しきっていないからだ。

私の事を知って欲しい。私の中にある弱さや醜さも全て受け入れて欲しい。

それでもこの時の私は全然素直じゃなくって、自分の全てをあなたに知ってもらう事が怖かった…。

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