【完】セカンドマリッジライフ

「でも…でも…ヒック。嫌だ…。ポテトを助けてくれないせんせぇなんて嫌いだよ…」

「ゆな…そんな事利久先生に言っちゃ駄目でしょう?」

ゆなちゃんのお母さんはゆなちゃんをぎゅっと抱きしめた。
お母さんの胸の中でゆなちゃんは泣き続けた。

獣医が安楽死を選ぶ事は出来ない。 あくまでも飼い主の合意がなければいけない。

私には安楽死が正しい選択肢かどうか分からない。 だって利久さんは言っていた。猫は死ぬ間際まで自分が死ぬとは認識しないらしいから。

生きたいと願うものの命を奪う事なんか。 けれどこの状況で自然死を待つのはポテトにとって一番辛かったのかもしれない。


せめて冷たい診察台の上ではなく慣れ親しんだ家で。

そう言った利久さんとゆなちゃんの家まで行った。 そしてその日のお昼、家族全員に見守られてポテトはゆっくりと息を引き取った。

眠る様に息を引き取ったポテトは、安らかな顔をしていた。それがせめてもの救いだ。

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