俺様幼馴染は素直になれない!


中学2年生。
思春期真っ只中、俺たちはギクシャクし始めた。

男子は、女子に対する意地悪な言動。

ヤーい、なんでこんなのも出来ないんだよ。

お前って、可愛くないよな。

何してんだよ、だからおまえは。

など

と女子の反応を見て、言っても大丈夫そうな人に言っていた。

それは、結愛に当てはまったのだ。

結愛は何も責めたりしなく、とにかく優しい女の子だった。

何も言ったりしない、他人の意見を聞く。

中学生にしては、達観していた。

そんな結愛だから、あまり話したことない人でも結愛に対して何かを言っていた。

その時、俺は中学3年生で、学校は同じだったが、受験に追われていた。

どの学校にするのか何を重視するのか迷いに迷っていた。

自分のことしか考えていなかったんだ。

中学生になって、久しぶりに一回だけ会った時。

結愛は小さい声で言った。

「…私、何がいけないんだろ」

今思えば、結愛の助けてサインだったのかもしれない。

俺はそのサインに気づかず、自分で決めたらいんじゃないかといつもより強い口調で結愛に発した。

結愛の顔は見ずに自分の家に入っていたのだ。

それ以来、結愛は俺の家に来ず、毎日家に帰っては学校に来ていたらしい。

合同の修学旅行の時だって、結愛の助けてサインに気づいたのに、見ぬふりをした。

俺は結愛の助けてサインを自ら拒否したのだ。

あの一件以来、結愛とは会っていなかった。

高校2年の時、入学式の際、結愛らしき人物を見つけた。

在学中の生徒は、新入生の後ろに座り、参加する。

はっきりいえば、ただいるだけでいいのだ。

新入生は、一人ずつ呼ばれる。
A〜F組から順番に。

C組 相波結愛。

担任の先生が大きい声を出して、結愛は返事をしていた。

そのあと、左右・後ろを振り返り、お辞儀をしていた。

その姿は、結愛だった。

少し不安そうな表情を浮かべて、目をパチパチさせていた。

俺は前の方に座っていたので、結愛を見つめていた。

すると、結愛はなぜか微笑んでいた。

俺は目を丸くして、結愛から目が離せなかった。

< 90 / 118 >

この作品をシェア

pagetop