御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない


「春野ちゃんの性格を分類したらお嬢様タイプでしょ。だから、周りの女子が色々言うのは半分以上ただの妬みだと思う。でも実際は、箱入りってわけでもなくて恋する暇もないくらいバイトして苦労して過ごしてきたんだから損よね」

眉を寄せた君島先輩に、渡さんが言う。

「本当、妬みとか勝手な話っすよね。それって春野じゃなくて相手の問題なのに。春野と自分を勝手に比べて、純粋無垢じゃなくなってる自分を正当化するために春野にイライラをぶつけてるんでしょ。ひがむなとは言わないけど、春野にあたるのは絶対違う」

私は〝普通〟とは少しずれているので、周りをイライラさせることが多々あるのは知っている。
思ったことをポッと言ってしまう癖は気を付けてはいるけれど、完全には制御できていないし、眉をしかめる人がいても仕方ない。

だからいいのだと口を挟もうとしたところで、君島先輩が私を見た。
「スタンプに話を戻すけど」と前置きされ、話題が移ったことにホッとする。

「そんな理性的にスタンプ集めて、十個押印できたら恋です!みたいな話じゃない気がするんだけど。もっとこう、辻褄が合わないものというか……二個しか押印されてないのに、どう考えても好きになっちゃってたり、逆にもう十個以上スタンプ集まってるのにその人とはなんでだか恋に発展しなかったりするものじゃない?」
「そういうものなんですか?」

疑問を疑問で返した私に、君島先輩は少しキョトンとしてから笑った。

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