能力を失った聖女は用済みですか?
「ふ……さすが、アッサラーム。揺るがぬ基盤があるのは、優秀な人材が支えるおかげだな」

「何を仰います。シャンバラはこれから大繁栄を遂げるのです。それは我がアッサラームをも越える繁栄かもしれません……というわけで今からシャンバラに恩を売り、後々返して貰おうという思惑でここに来ています」

……何かさらっと問題発言しましたよね?
内に秘めておいてもいいようなことを、さらっと暴露しましたよねぇ!?

「いやはや……デュケーン殿は嘘がなくて良い」

シスルが感心して言った。
でも、外務担当が本心駄々漏れは大問題じゃないかな?
そう思っていると、アミードが飄々と反論した。

「いえいえ、嘘はつきますよ。シャンバラではその必要がないだけで、他所では嘘だらけです。で、本題ですが……」

え、ええっ?
いきなり話を切り替えた!?
淡々とした様子のアミードに私は翻弄されている。
前に話した時は、説明のとても上手い人だなぁ、という印象しかなかった。
だけど、今は、ちょっと得体の知れない変わり者という感じだ。

「ルナさん、イモの収穫量は前と変わりませんか?」

「ふぇ!?……あ、はい。ずっと同じです」

「では……菜園の土地を広げれば収穫量は増えると思いますか?」

「……え、ええ。キドニー集落の広い開墾地を見たのですが、ビッシリと実ってました。おそらく、畑として耕した場所には遠慮なく育つのだと思います」

この辺りでは一番広いキドニーの開墾地は、律儀に畑の区画内ギリギリまでイモが実っていた。
狭くてもそれなりに。
広ければ思う存分。
おイモの精霊は場所に応じて、自由自在に出来高を変えている。
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