能力を失った聖女は用済みですか?
すると、さっきまで笑顔だったシャルは、スッと真顔になり、声を低くした。

「気になる動向があるのです。実は……あ、ルナさん、来てくれてありがとう。ここからは楽しい話ではありませんので、下がってもいいですよ?」

……用は終わったってことね?
素早く理解した私は、背を向けて扉へと向かった。
そして、一礼して扉を閉めた瞬間、シャルの口からある言葉を聞いてしまいドキリとした。

(……ロランから、聖女がいなくなったようです)

私の……ことだ。
そう思うともう、聞きたくて堪らなくなり、閉まった扉に耳を当てる。
すると、くぐもった声の会話が聞こえた。

(聖女が!?なぜ?)

カイエンが返す。

(力が使えなくなったそうです。それで、ロランは新しい聖女を召喚するため、前の聖女を追い出したようなのです)

(力が使えない!?そうか、そんなことがあるんだな。で、前の聖女はどこにいったんだ)

(それはわかりません……しかし重要なのはそこではないのです)

シャルがふぅと一呼吸置く間に、私も大きく息を吐く。

(ロランは大量の魔鉱石で、新しい聖女を召喚しようとしましたが、悉く失敗しました。聖女どころか、猫一匹召喚に応じなかったらしいのです)

そんなことになっていたんだ。
でも、大量の魔鉱石を使っても召喚出来ないなんて……一体どういうこと?
やはり、ロランの国内では何かがおきているのかな。

(ふん……国の守りを誰かに頼もうとするのが間違ってるんだ!)

カイエンの言う通り!
私はウンウンと扉の外で頷いた。
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