能力を失った聖女は用済みですか?
(叔父上。聖女召喚に失敗したロランは、前の聖女を呼び戻すべく今探しているそうですよ)

(気に入らないな。自分達が追い出しておいて、誰も召喚出来ないと掌を返して呼び戻す。力がなくともいるだけマシ……そういう考えなのだろう)

(ええ。そうだと思います)

(前の聖女にいい印象はないが、ロランの思惑に翻弄されるのも気の毒だな。ロランに連れ戻されて、いいように使われないことを祈る……)

カイエンの声は小さくなり、次に会話が聞こえた時には話の内容が変わっていた。
北方の国の情勢や、アッサラーム王家の近況など。
わいわいと4人は大声で盛り上がっていたけど、私はそれどころではなかった。

ロランが私を探している!
見つかれば連れ戻されるのではと思うと、体が震えた。
でも、まさか私が、精霊信仰のないシャンバラにいるなんて、ロランの追っ手も考えないだろう。

「気を付けろよ?むこうさんも必死みたいだぜ?」

「わっ!ディアーハ!?」

背後からの声に振り替えると、ディアーハがフワフワと空中に浮いている。
ちょっと、誰かに見られたらどうするの!?
慌てて周りを確かめたけど、辺りには誰もいなかった。

「心配しなくてもこの辺には誰もいねぇよ。安心しろ。しかし、俺様に驚くなんて失礼な奴だな。この国が快適過ぎて緊張感が薄れたか?」

「うん、ごめん。シャンバラに来てから、緊張は薄れてたかもしれない」

「確かに、ここは危険じゃない。だが、一応気を付けとけよ?」

「そうだね。うん、気を付ける」

ディアーハの言う通り、あまり目立つ行動は避けなくてはいけない。
私は気を引き締めつつ、ゆっくりと祝宴の間を後にした。
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