未来の種
「父さん…。俺は何も出来てない。
寿貴先生がやってくれたんだ。」

昇ちゃん…。

「……だとしても、親として感謝する。
お前が産婦人科を選んだわけがやっとわかったよ。」

父はちゃんとわかってくれた。

「お父さん、お母さん、昇ちゃんがいなかったら今の私はいない。今の前向きな私はいないの。
昇ちゃんのおかげで、未来を考えられるようになったの。」

「美衣子、大袈裟だよ。
……で、話の続きなんだけど。」

昇平は少し照れたように、鼻を擦りながら、話を進めようとした。

「美衣子を出来るだけ早く結婚させたいと思ってる。」

「……結婚か。
こんな形で結婚を認める事になるとは思わなかったが…。」
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