色のない世界に恋のうたを

別れて数ヶ月したある日。
会社でいつものように働いていると、
地下の倉庫に備品があるから取ってきてほしいと言われた。
地下の倉庫を開けるための鍵を取りに行くとそこには、使用中のタグがかかっている。
借りて行った部署を管理人さんに聞くと、それは流星の務める部署。
…しょうがない、取りに行こう。
そうして流星の部署へ向かった。

「経理会計課のものです。すみません、倉庫の鍵をお借りしたいのですが…」
[あぁ、まだ使っていなくてね。
黄野くん、彼女も一緒に倉庫連れてってあげて]
『分かりました』

数ヶ月ぶりに見た流星は、あの時と変わらないままだった。

『行きましょうか』
「はい」

6階から地下の倉庫まで2人で移動する。
…気まずい。いっその事、初めましての人がよかった。
私達の階が点滅したエレベーターに乗り込み、地下のボタンを押す。

『…久しぶり』
「久しぶり」
『痩せた?』
「…そうかな?」

嘘。本当はあなたと別れてから3キロも痩せた。

『ちゃんと食べてる?』
「ん-、どうかな」
『忙しいの?』
「うん、」
『そっか』

地下一階が点滅した。
私達はエレベーターを降りて、倉庫へ向かう。
誰もいない地下に、私の履くヒールの音がコツコツと響く。
ガチャっと鍵を開ける大きな背中。いつもこの背中を抱きしめていたのに。
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