秘密のカンケイ
抱きつきたい衝動を抑えながらアオイをみたのを今でも鮮明に覚えている。そして同時に不安にもなった。あんなにカッコいいんだ…もう彼女がいるのではないか、と。でもその度に、一時帰国の報せをくれるということは大丈夫と思い直すの繰り返しだった。

そして今回四回目の一時帰国の日、私は再びアオイに告げずに空港に来た。今度こそアオイに会いに来たのだ。

期待と不安が入り交じる気持ちで入国ゲートを見守る。到着便の表示が出たので入国する人、出迎える人で混雑していた。まだかなと待っていると、私が待ちわびた人の姿が現れた。あと少し、あと少し……

「アオイ!!!」

周囲の目も気にせずアオイに力任せに抱きついた。

「おゎっ!………と…。詩音?」

三年振りの愛しい人の匂い、体温。やっぱりこの気持ちは嘘じゃない。変わらなかった。

「アオイ、待たせてごめん。大好き」
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