すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
「翔太、今日から順番に泊まろうか。」
「そうだな。
ICUは、病室のように隣にいることは難しいけどなるべく沙奈のそばにいたい。」
「紫苑。俺も、なるべく泊まり込みで沙奈のそばにいてもいいかな。」
1秒でも、今は彼女の傍を離れたくなかった。
目を離してしまうと、命の灯火が消えてしまいそうで怖かった。
「大翔、ありがとう。」
心電図や呼吸器の機械に繋がれ、沙奈は何度も苦痛の表情をしていた。
意識もない状態。
血圧も60代。
辛いよな。
苦しいよな。
どうして、沙奈ばかりがこんなにも辛い思いをしなければならないんだ。
24時間、沙奈の心臓の動きを見て把握できたけど、やっぱり沙奈の心臓は少しずつ鼓動が不規則で、寝入ってしまうとゆっくりになっている事が分かった。
このままではまずいと思いながらも、今はペースメーカーの手術が必要になることは紫苑や翔太にこの状況下で伝えることができないと思った。
きっと、2人は医者だから分かるとは思うけど。
沙奈に刺さっていた刃物は、心臓にギリギリで刺さってはいなくて、不幸中の幸いともいえた。
刃物が心臓に刺さり、心破裂なんてしたら命は救えなかった。
そう考えると、激しい怖気に襲われる。
それから、心臓だけではなく出血量も多くてショックを起こしかけていたけど、沙奈が命を落とさなかったのは、沙奈に強い生命力があったからだと思う。
沙奈の体重から見て、あれだけの血が失われていたから沙奈の顔色は真っ青になっていた。
命を落とさずここまで繋げたことは奇跡に近いだろう…。
元々沙奈は貧血気味で、人よりも血液が足りていない状態だ。
血液検査のデーターや、沙奈の血の気の抜けた白色の顔を見ると分かる。
「沙奈。君は、奇跡に恵まれたすごい子だな。」
沙奈の額に、自分の額を近づけ聞こえるはずのない彼女に伝える。
沙奈が産まれてきた時だって、奇跡の連続だったのだろう。
あれだけ乱れた家庭環境の中で、今の沙奈と巡り会えたことも奇跡だ。
たまらなく愛おしい彼女を見つめ、俺は何度も回復を祈りながら手を繋いでいた。