すてきな天使のいる夜に〜2nd Sstory〜
「沙奈、大丈夫か?」
「紫苑…
私、朝まで寝ちゃったんだね…」
窓の外を見ると、明るくなっていることに気づいた。
「体は辛くないか?」
「うん。大丈夫だよ。」
体を半分だけ起こすと、紫苑がいつものように診察を始めた。
「…うん。喘鳴も出てないみたいだから大丈夫とは思うけど、無理はしないようにね。」
紫苑の診察が終わってから、私は久々に高校へと向かった。
久々に登校した時には、2学期に入っていて本格的に進路に向かっての指導や勉強に取り組み始める時期になった。
4月の頃、先生との三者面談で医者になりたいことを伝えてから何も始めてこなかったな…
今から始めることがどれだけ遅いか…
病気や、父親のことがあったから勉強は何一つ進めることなんてできなかった。
「七瀬さん。」
朝のホームルームで突然名前を呼ばれた。
「はい。」
「ホームルームが終わったら、一緒に職員室へ来てくれる?」
「分かりました。」
なんだろう?
夏の補習は全部出たし、何か怒られるようなことをしてしまったのだろうか…
心当たりはないけど…
留年の話とか…かな?
「それに、早見さんも。」
奈子も?
「はい。」
奈子と一緒に、私は先生の後を追い職員室へと向かった。
「急に呼び出したりなんてしてごめんね。
辛いとは思うだろうけど話してほしいの。
夏休み中、あなた達事件に巻き込まれたわよね。
その状況を、学校としても詳しく知らなければいけない義務があるの。
辛いことだし、話すことも苦痛とは思うけど覚えていることを話してほしいの。
あなた達を傷つけた人は知っている人だったのかしら。」
私達が事件に巻き込まれたことは、警察から学校へ話が行ったのだろうか。
「沙奈を刺した人は、私たちの父親なんです。
沙奈は、ショックのあまり事件の日の記憶が残っていないんです。
できるだけの抵抗はしましたが、力で適うわけありませんでした。」
「そう…だったのね…
辛かったわね、七瀬さんも早見さんも。
ありがとう、話を聞かせてくれて。
校長には私の口から話しておくから、2人はもう何も話さなくていいわ。
辛いのに話してくれてありがとう。」
そう言って、担任の先生は私達の頬に触れ優しい眼差しを向けていた。
「もう、戻っていいよ。」
「先生。」
「どうしたの、七瀬さん。」
「事件のこと、あまり大事にしないで。
入院の期間が長くなったこと、音羽と瑛人には持病が悪化したとしか話してないの。
だから、公に話さないで下さい。」
「分かったわ。校長先生にもそう伝えておく。」
「ありがとうございます。」
私と奈子は手を取り、教室へと戻った。