転生したらまさかの悪役!?
幼い頃から僕、樹(いつき)は体が弱くて入退院を繰り返す日々を過ごしていた。

病院の真っ白な病室は何もない。季節を感じるものも、子どもが喜ぶようなものも、何もない。ただ、毎日注射をされたり点滴をされたり、痛いことばかりされる。だから、僕はこんな弱い体も病院も大嫌いだった。

そんなある日、お母さんが僕に一冊の本をプレゼントしてくれたんだ。それは、泣き虫だった主人公が騎士となり、たくさんの仲間と共に冒険をしながら悪い魔女などを倒していく冒険ファンタジー。

読み始めるとすぐにその物語の中に引き込まれ、僕は夢中になって読んでしまった。そして、この騎士シリーズが発売されるたびに買ってもらい、こんな騎士のように強くなりたいなぁと思ったんだ。

でも、運命っていうのは残酷だ。僕の抱えている病気はどんどん重くなり、僕は死んでしまった。お父さんやお母さんの泣いているあの顔を見るだけで、僕も悲しくなってしまう。
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