毒蝶
ルナはいたずらが成功した子供のように笑う。


「郵便物の名前見ただけだよ」


そうか、ここは僕の家だから、少し探せば僕の名前を見つけることはできるか。


「ねえ、もう一回、呼んで」
「……逞?」


知らなかった。
好きな人に名前を呼ばれるだけで、これほど幸せな気持ちになるとは。


僕は彼女を抱き締める。


「……好きだよ、ルナ」


馬鹿みたいに心臓がうるさくなる。


これが僕のものなのか、ルナのものなのかわからない。
でも間違いなく速くて、嬉しさと緊張が混ざっていく。


「……私、もっと早く逞に会いたかった」


好きだという言葉に対して、これは会話が成り立っていなくないか?


どうして告白のあと、こんなことを言うんだ?


「そしたら、傷だらけの体を見られることなんてなかったのに……」
「……それってつまり、ルナも僕のことが好きってこと?」


ルナは僕の腕の中で寝返りを打った。


「照れてるの?」


聞いてみるけど、反応がない。


どうしようかと悩んでいたら、ルナのうなじが目に入った。
そっと口付けをする。


ルナはくすくすと笑った。


「くすぐったい」


その声が可愛らしくて、僕は少しいじめるように続けた。
次第にルナの声に甘さが戻ってくる。


先ほど覚えたばかりの快感を確かめるように、同じことを繰り返した。
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